笹山登生のウォッチ&アナライズ –


2009年9月18日

政策の正統性をまもるために-転びバテレン官僚の横行は阻止します。-

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama – 2:06 PM

昨日の赤松広隆新大臣就任で、農林水産省でも、いろいろ、あったようだ。

この記事「井出・農水事務次官:「降伏」 赤松農相と和解 戸別補償批判を撤回」でも、井出道雄農林水産事務次官が6月18日の定例記者会見で、民主党が政権公約に掲げた同制度について「事務作業が大変で現実的ではない」と指摘し、これに対して、民主党は「公務員の政治的中立性を脅かす発言」と猛反発していた、その井出次官が、民主党政権新大臣に就任に当たり、「全面降伏」したため、続投がきまった、との揶揄記事を載せている。

以下引用
赤松広隆農相=が「けじめがつかないなら辞めていただく」と迫ったのに対して、井出次官が発言を事実上撤回し「全面降伏」した。
赤松農相によると、17日の初登庁後に井出次官を呼び「けじめ」を求めたところ、井出次官は「(官僚は)時の政権を支えるのが使命。ご理解いただきたい」と弁明。その上で「政権も政策も大臣も代わった。献身的に徹底的に支えたい」と恭順の意を示したところ、赤松農相が「過去は過去として、力を合わせてやろう」と応じ「歴史的和解」(農相)が実現した。
以上引用終わり

また、別の新聞記事では、

赤松大臣、井出次官に対し、
「けじめをつけずに、はい、あなたが次官ですかとはいかない。けじめがつかないのであれば、お辞め頂くことになるかも知れない」
井出次官、赤松大臣に対し
「時の政権を支えることに理解を頂きたい」
赤松大臣、井出次官に対し、
「官僚としての誇りをもって責任を果たすなら、過去は過去とする」

以上引用終わり

この中での井出次官の発言「「(官僚は)時の政権を支えるのが使命。ご理解いただきたい」、この発言は問題ですね。

この発言を額面どおり受け取れば、「自分の本意ではなかったが、自民党政権の下であったので、心ならずも、農業者戸別所得補償制度の問題点を指摘してしまった。」ということになる。

では、自民党政権下でなければ、農業者戸別所得補償制度に、問題点はまったくないのか?

井出さんの、政策評価に対する、基本的なスタンスは、ゼロだったというのか?

大阪淀川のミヲツクシは、川の流れが変わっても、あえて、身をよじるようなことはしないものだ、。

私がたびたび指摘しているように、この農業者戸別所得補償制度は、WTOコンプライアンス違反であることは明白である。

そういうマクロからの問題提起を、井出さんが、これまで、してきたかどうか、そのあたりが、問題だと思う。

井出さんは、ルビコン川を渡ったつもりなのだろうが、これでは、転びバテレン(伴天連)と揶揄されても仕方がない。

ましてや、今後、注視すべきは、各省庁の事務次官人事が、これまでの一年交代のローテーションで進めることができるのかどうか、非常に不透明なのだから、それを見越してのバテレンとなると、自らの長期政権も視野に入れている、ということになり、これは許せない。

もっとも、今の民主党政権下の農政を、戦後のGHQ統治下の農政と重ね合わせれば、そんなものかもしれない。

赤松さんを平野力三さんにたとえては、申しわけないが。
(余談ですが、私は晩年の平野力三さんに、お会いしたことがあります。選挙区である山梨県で日本農民組合主体で顕彰碑を立てられたというので、父が、平野さんの下で事務次官をつとめた関係で、父ともども参加したのですが。印象にのこっているのは、親族代表で挨拶された平野さんのおじょうさん照子さんが「私もひとの道に習い、最近、やむなく結婚しましたが、父の道はそれでも、ついで行く」などとの意味の挨拶をされて、ただものではない感じがしましたっけ。)

でも、その当時には、もっと骨のある革新農林官僚が輩出したものですが。

まさに、これらの官僚たちの言動を見ると、官僚の夏どころか、秋風寂し五丈原的、官僚の秋をおもわせてしまう。

ところで、山下一仁さんが、今日、面白い記事を出されている。

「主要穀物の完全自給まで公約! 鳩山民主党“農政改革”の幻想と矛盾
である。

山下さんが言われていることは明確で、政策的に矛盾していることは、言わないし、実施しない、ということなのだろう。

それにしても、どちらをみても、転びバテレンの様相では、山下さんも、悲憤慷慨するのも無理はない。

要するに、政策の整合性が取れていないのである。

政策の倫理性といってもいいかもしれない。

私も、自民党でも民主党でもないが、あえて、これらの転びバテレンたちを、山下さんなどと一緒に、斬りこむ、眠狂四郎にならなければならないのかな?などと思っている。

眠狂四郎は、あえて、転びバテレンのオランダ人の父親ジュアン・ヘルナンドに、相対峙したという。

参考
この件に関しての赤松大臣の記者会見の中の部分抜粋(この記者会見、全体的にあっちに行ったりこっちに行ったりの乱調気味の記者会見ですね。まあ、乱調の美とも言いますが。)

その後、幹部職員の紹介ということもあったのですが、「それは、ちょっと待ってくれ」と、なぜかというと、農水省に関わるいろいろこの間、私が就任前に、いろいろな問題があったので、そういうことを解決せずに、けじめもつけずに、「はい、はい、そうですか、あなたが次官ですか」、「あなたが官房長ですか」、というわけには行きませんよということで、特に、皆さんご存じのとおり、6月の井出さんの次官会見についての問題については、これは、もし、その考え方が今もそのままだとすれば、それは大変問題があるので、これはもう、次官が、まず私の所に来てもらって、その辺のところをきちんと、まず質したいと、そして、それなりの結論が出て、けじめがつけられれば、あるいは、けじめがつかないということであれば、これはもう、当然お辞めをいただくということになるかも知れません。そういうことも含めて、まず、それがあってからの話だということで、石破大臣との引き継ぎのあと、話を直接させていただきました。
ご本人からは、これは当然のことながら、時の政権、あるいは農水省の責任者である大臣を、次官として支えるということは、これは是非ご理解をいただきたいと、しかし、政権は変わった、政策も変わった、大臣も替わった、そういう中で、民主党の掲げる戸別所得補償制度をはじめとして、新しい大臣を、責任を持って、献身的に徹底的に支えたいというお話がございましたので、「分かった」と、過去は過去として、そういう熱意で、そして、私なりに解釈すれば、官僚としての誇りを持って、きちんと責任に当たっていただくということであれば、それをよしとして、「お互い力を合わせて、しっかりやりましょう」ということでお話をさせていただきました。

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