アセトアミノフェン(acetaminophen)を主成分とする非アスピリンの鎮痛剤である、商品名「タイレノール」が、ワクチンの効果を妨げるという研究結果が、LANCETの10月17日号に発表された。
この研究は、チェコの the University of Defence in Hradec KraloveのRoman Prymula博士のチームによるもので、論文名は、「Effect of prophylactic paracetamol administration at time of vaccination on febrile reactions and antibody responses in children: two open-label, randomised controlled trials 」
である。
研究内容は次のとおりである。
ワクチン接種後に、抗体反応として熱が出ることが多いが、この熱さましのために,幼児にパラセタモール(para-acetylaminophenol、別名アセトアミノフェン、タイレノール、)を服用させた場合、ワクチンの効果にどのような影響が出るかを、以下の方法で459人の幼児についてみた。
接種したワクチンは、肺炎球菌、Hib、ジフテリア、破傷風、百日咳についてのワクチンである。
幼児にワクチン第一次接種後、そのうち、226人については、ワクチン接種後24時間以内に、6-8時間ごとに一服ずつ3回、パラセタモールを服用させ、233人については、パラセタモールを服用させなかった。
パラセタモール服用グループの226人を第一グループ、パラセタモール非服用グループ利233人を第二グループとすると。
39.5度以上の熱を出したのは、
第一グループ1人、
第二グループ3人
第一回接種後12-15ヵ月経過した後の、二回目のブースター接種の後では
39.5度以上の熱を出したのは、
第一グループ178人のうち3人、
第二グループ172人のうち2人
であった。
ワクチン接種後、38度以上の熱を出した割合をみてみると
パラセタモール服用グループ(第一グループ)については、
第一次接種後42パーセント(94÷226)
第二次接種後36パーセント(64÷178)
パラセタモール非服用グループ(第二グループ)については、
第一次接種後66パーセント(154÷233)
第二次接種後58パーセント(100÷172)
となり、第一次グループの方が著しく、熱を出す割合が少なかった。
このことから、研究グループでは、パラセタモール服用の第一グループの抗体幾何平均(Antibody Geometric mean coefficient;GMC)は、パラセタモール非服用第二グループと比較して、著しく低いと、結論づけた。