笹山登生のウォッチ&アナライズ –


2010年1月22日

佐竹秋田県知事、全国知事会で「泣く泣く国に従った」と発言

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:19 PM

「国に泣く泣く従わざるを得なかったが、これはいかがなものか」。

佐竹敬久知事は21日、東京都内で開かれた全国知事会議で発言し、コメの生産数量目標の配分をめぐって、国が戸別所得補償制度からの“秋田外し”をちらつかせて配分の見直しを求めたことへの不満をあらわにした。

同時に「これから財政事情がさらに厳しくなると、いろいろな方面で地方に手を突っ込んでくる可能性がある」と指摘。国への不信感を強めていることをうかがわせた。

との記事だが、さすがの佐竹の殿様も、、今回の赤松農林水産大臣の脅しと賺しの暴挙には、腹に据えかねたらしい。

おまけに、その解決の翌日には、あてつけ気味に、減反破りの大潟村の涌井氏を、大臣が激励している始末である。

秋田県農民は、よっぽど、コケにされても、怒らないと踏んでいるらしい。

それにしても、ふがいなかったのは、秋田県選出の衆参の民主党議員たちである。

苦悶する秋田県の農家の立場を国に対して擁護なり代弁することをまったくせずに、拱手傍観していた。

その彼らの無責任さこそ、問われるべきなのだろう。

2010年1月21日

「リーダーが検察に揺さぶられ機能停止した日本」という今日のニューヨークタイムズ紙記事

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:23 PM

今日も、ニューヨークタイムズでは、小沢問題にゆれる日本について書いている。

この記事「Japan Stalls as Leaders Are Jolted by Old Guard 」がそうで、ここでの「Old Guard」とは、検察のことである。

この中では、鳩山さんの『戦ってください』発言が取り上げられ、この発言をもって、『第二次世界大戦後の総理大臣の中で、検察官に対しての政治的なコントロールを行使するために、法的権力をもった唯一の首相である。」としている。

そのほか、検察に対する民主党内部の対決姿勢や、インサイダーについて寛容な日本の政治風土などについても、縷々、書かれている。

このように連日海外メディアによって報じられる日本の姿というものは、私どもにとって、決して心よいものではないのだが。

世界に蔓延しつつある『日本の失われた10年恐怖症』

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:21 PM

今日は、中国の09年第4四半期(10~12月)の実質国内総生産(GDP)の伸びが前年同期比10・7%だったと発表され、世界2位の日本に肉薄したとの話題でにぎわっている。

同時に、これからの中国のバブル崩壊を懸念する声も、同時に強まっている。

このサイト「China economy sees strong growth」では、東京で取材した鈴木太郎氏というグリーンキャブの運転手さんのバブル時代の回顧録から始まっている。

鈴木さんは、かつて、大会社のサラリーマンであったが、1980年代のバブル期に不動産投資家となり、そのときから鈴木さんの人生は狂いだしたという。

1980年のこれら日本の状況と、今の中国の状況とは、著しく似ているという。

その意味で、中国は、日本がやってきたことについての、日本の犯した過ちをも含む意味での、最優秀な生徒であるとしている。

このサイト「If history is any indication, China’s economic bubble will collapse」では、日本の1980年代の天文学的な日本の輸出の増加と不動産バブルと株式市場の加熱と、今の中国の状況とは、そっくりであり、今の中国の海外投資の増加と、財政支出の増加についても、1980年代の日本の状況と同じであるとしている。

為替レートのコントロールについても、かつて、日本が1980年代にそのコントロールに苦しんだように、中国が、いまの為替レートをコントロールするのは、難しくなっているという。

日本の失われた10年と、今のアメリカの状況との相似性を指摘する向きもある。

このサイト「Japan: An Inflationary Spiral Ahead?」においては、その両者の類似点の第一は、1990年代の日本の株式市場の高騰とそれに続く景気後退があったことと、アメリカにおける2000年での同じような株式市場の高騰と、されに続く、景気後退との類似である。

そして、日本もアメリカも、それに対して、通貨の供給増と、財政支出の増加を持って対応した点も類似しているという。

その結果として、両国の多くの経済アナリストは、デフレ・スパイラルの到来を危惧している。

しかし、一方、これらの通貨供給増加と財政赤字の増嵩によるインフレ到来を懸念する声もあるという。

この論者によれば、日本における失われた10年におけるデフレは、実は、デフレではなく、物価安定なのであり、また、株式市場や不動産市場でのデフレ現象と、日本国民生活レベルでの物価安定現象を混同した見方なのだとしている。

このサイト「Will the US Economy Mimic Japan’s Lost Decade(s)」においても、アメリカ経済は、日本の失われた10年の経過を真似ているのではないかとの指摘をしてる。

このサイトでは、Ambrose Evans-Pritchardの次のような言葉を引用している。

日本が依然として失われた10年を吹き飛ばしえないでいるのは、日本の投資家が、彼らの置かれた苦境を理解し、それにしたがって行動するようなイメージをもっていないからだという。

そして、そのことを、『グローバルな失敗が、日本において、醸成されている』としている。

過日発表されたIMFレポートでは、日本の失われた10年について、次のような分析を試みている。

すなわち、このサイト「Global economic recovery – Does Japan’s handling of ‘Lost decade’ offer any clue?」では、もし、現在の世界経済が、かつて、日本がたどった失なわれた10年の過程をたどっているのだとしたら、現在の段階は、そのもっとも初期の段階にある、としている。

すなわち、日本の失われた10年と今回のリーマンショックとの比較においては、そのトリガーとなったのは、同じバブルの崩壊と信用供給過剰ではあるが、今回のリーマンショックにおいては、いまだに、その根源の問題が残存しているところに大きな違いがあるのだという。

このサイトによれば、日本の失われた10年は、次の3つのフェーズに分かれうるのだという。

第一フェーズ-1990年から1997年
いったん崩壊した日本経済が、1994年に、それまでの財政出動によって、回復への萌芽を見せた。

第二フェーズ-1997年から2000年
1997年のアジア経済危機が日本経済をほとんど、メルトダウンの状況に陥らしめた。
金融機関への資本注入によって、経済は回復を見せ始めたが、不良債権処理を生煮えの状態に放置したまま、景気刺激策が再開され、金利をゼロ金利状態にしてしまった。

第三フェーズ-2001年から2003年
200年3月にハイテク危機が発生。
財政上の問題や企業にある問題についての包括的な問題解決は、脇に置いたままとなってしまった。

これらの日本の失われた10年の歴史から学ぶべきことは、出口戦略としての景気刺激策の用意の必要性、財政部門と民間部門の健全性と持続性の確保の必要性、であるとしている。

以上に見たように、リーマンショック後の世界経済は、日本における失われた10年に学び、これを先行指標とし、かつ、自らの国が、日本と同じ失われた10年の状態に陥らぬようにとの、考えを持っているようだ。

しかし、IMFのレポートにあるように、もし、日本が、失われた20年を脱却できれば、世界をリードしうる明るい先行指標としての地位も確立しうるのだが。

いかんせん。今の日本の民主党政権にそれを期待するのは、所詮、ムリのようである。

2010年1月20日

ニューヨークタイムズでは、小沢問題をどう見ているか?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:25 PM

今日のニューヨークタイムズの記事「Probe Widens Into Japan Ruling Party Kingpin」(広がる日本の政権政党大物への捜査)では、小沢問題の今後の日本の政治・経済に及ぼす影響について書いている。

それにしても、この題名で使われている「Kingpin」だが、そもそもは、ボーリングの5番ピン(真ん中のピンで、1番ピンの後ろにあるピン、まさにいいえていますなぁ。)という意味のようで、これにヒットすれば、ストライクというような意味で、一般的には、中心人物とか大物という意味のようだが、その大物も、「the crime lord Kingpin」とか「drug kingpin」とか、裏の世界の大物という意味で使われる場合が多いようだ。

この記事では、次のように書いている。

日本の株式市場では、このスキャンダルが景気底入れのための補正予算や本予算の審議を遅らせることにつながるのではないか注視している。

また、もし、日本の民主党が、このスキャンダルの影響を追加補正予算で相殺することに手間取ると、日本政府は、日本の債券利回り上昇圧力に見舞われるであろう、としている。

さらに、このことによって、鳩山政権は、「社民党と国民新党という二つのしばしば意見の異なる小政党への依存度を少なくするために、次の参議院選挙に勝つ」との前提となる国民の民主党支持を損なっていくことになるとしている。

連立政党によらねばならぬという損失が、議会でのデッドロックを生み出し、また、日本の人口の老齢化による深い構造的問題に対処する努力を妨害することになる、としている。

そして、あるアナリストの言として「小沢氏は、検察と戦っているが、その他の民主党議員たちは、大衆からの認知と戦ってる。」としている。

 

2010年1月17日

「税金のキックバック」という観点からのスキャンダル評価は必要

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:28 PM

民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体による土地取引問題について、前原誠司国土交通相は15日の閣議後の会見で「公共事業で政治家に多額のお金が渡ること自体、税金のキックバックのような話で許されざることだ」と述べたということだが、このような視点からの検証は、検察批判をする前に、当の民主党内部から必要だと思うのは、わたくしだけであろうか?

このことは、職務権限があろうとなかろうと、関係ない。

つまり、民主党がお好きなレトリックである「国民のための民主党政権」ということを標榜されるのであれば、「税金のキックバック」というような状況があったのかどうか、そのことが、「国民のための民主党政権」にかなうものなのかどうなのか、ということについての検証である。

その検証がない限り、「事業仕分け」を民主党がする資格はない。

昨日の民主党大会での小沢さんの発言を見る限り、そのような視点からの批判には、答えていない感じだ。

鳩山さんの発言にも、小沢さんの発言にも、その「税金のキックバック」という点について、「一切そのようなことはない」というような確言はなかった。

一応、前原さんには、党内で孤独にならないように、党外からだが、エールを送っておこう。

それにしても、鳩山さんの「戦ってください」ってのは、変な話だ。

しかも、そのようなことを総理官邸のなかでいうこと事態異常なことだ。

いったい、検察は、鳩山総理大臣・鳩山内閣の敵なのか?

いったい、鳩山さんは、三権の長なのか?

総理大臣が、検察を反乱将校扱いしている、ということなのか?

「ノーコメント」と逃げまわる稚児さん的な民主党国会議員(私の見る限り、はっきりした見解を述べていたのは、村越祐民衆議院議員だけであった。無事を祈る。)に勝る、鳩山さんの公家さん振りである。

そのまえの、「私自身の問題もあったが、総選挙の前から出ていた話であり、こういう問題があるにもかかわらず、民主党を国民の皆さんの多くが選んだ」って発言も、国民からのクーリングオフはもうききませんよ、といっているような、詐欺的レトリックに満ちた、おごりきわまれる発言である。

「民主党議員は腰抜けか」という乾正人さんの論説に一服の清涼感&爽快感を抱いたが、この表題は、「鳩山総理は腰抜けか」という題に書き換えた方がよさそうである。

まあ、こうしてみると、日本の政治は、腰抜けの民主党議員と腑抜けの自民党議員からなるバナナ共和国的二大政党政治の下にある、ということになるのか?

「税金のキックバック」という観点からのスキャンダル評価は必要

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:26 PM

民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体による土地取引問題について、前原誠司国土交通相は15日の閣議後の会見で「公共事業で政治家に多額のお金が渡ること自体、税金のキックバックのような話で許されざることだ」と述べたということだが、このような視点からの検証は、検察批判をする前に、当の民主党内部から必要だと思うのは、わたくしだけであろうか?

このことは、職務権限があろうとなかろうと、関係ない。

つまり、民主党がお好きなレトリックである「国民のための民主党政権」ということを標榜されるのであれば、「税金のキックバック」というような状況があったのかどうか、そのことが、「国民のための民主党政権」にかなうものなのかどうなのか、ということについての検証である。

その検証がない限り、「事業仕分け」を民主党がする資格はない。

昨日の民主党大会での小沢さんの発言を見る限り、そのような視点からの批判には、答えていない感じだ。

鳩山さんの発言にも、小沢さんの発言にも、その「税金のキックバック」という点について、「一切そのようなことはない」というような確言はなかった。

一応、前原さんには、党内で孤独にならないように、党外からだが、エールを送っておこう。

それにしても、鳩山さんの「戦ってください」ってのは、変な話だ。

しかも、そのようなことを総理官邸のなかでいうこと事態異常なことだ。

いったい、検察は、鳩山総理大臣・鳩山内閣の敵なのか?

いったい、鳩山さんは、三権の長なのか?

総理大臣が、検察を反乱将校扱いしている、ということなのか?

「ノーコメント」と逃げまわる稚児さん的な民主党国会議員(私の見る限り、はっきりした見解を述べていたのは、村越祐民衆議院議員だけであった。無事を祈る。)に勝る、鳩山さんの公家さん振りである。

そのまえの、「私自身の問題もあったが、総選挙の前から出ていた話であり、こういう問題があるにもかかわらず、民主党を国民の皆さんの多くが選んだ」って発言も、国民からのクーリングオフはもうききませんよ、といっているような、詐欺的レトリックに満ちた、おごりきわまれる発言である。

「民主党議員は腰抜けか」という乾正人さんの論説に一服の清涼感&爽快感を抱いたが、この表題は、「鳩山総理は腰抜けか」という題に書き換えた方がよさそうである。

まあ、こうしてみると、日本の政治は、腰抜けの民主党議員と腑抜けの自民党議員からなるバナナ共和国的二大政党政治の下にある、ということになるのか?

2010年1月16日

政権交代後の環境政策スキームの課題

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:30 PM

三年前から、明治大学の学部間共通総合講座という講座で、年一回、90分程度、「環境と政治」というようなテーマで、講義らしきものを受け持っているのだが、昨年は、ちょうど予定当日、台風の襲来で講義が流れてしまい、一昨日、実現した。

なんやら、前々日は雪模様なので、今回も流れるのかなと思ったが、どうやら、無事に終わった。

毎年話すことが同じではと思い、今回は、政権交代後の環境行政を中心にしての話とした。

とくに、ダム問題にミチゲーション手法を用いる方法などを、アメリカのノースカロライナの事例をもとに話したり、民主党政権のお好きな直接支払い型政策の限界や、景気対策としての問題点、あるいは、CO2削減に京都メカニズムを用いる問題や、鞆の浦訴訟における景観権の位置づけ、などについて、話した。

相変わらずの汚い私の板書で、受講生の方は、おそらく、あきれていたのではないかと、内心、ちょっと、申し訳ない気がしたが、準備の段階で、事務局の方が、『パワーポイントはお使いではないですね。』などといわれてみると、今時は、板書よりも、パワーポイントが主流なのかな?などとも思ってしまうのだが。

ただ、こうして、三回もやってみると、この板書ってのは、話すほうから見ると、結構息抜きの時間帯になって、書いている間に、次の流れを考えられるっていう利点があるようだ。

それと、時間稼ぎや話の間の要素もかなりある。

聞いているほうも、息抜きになる面があるんではないでしょうかね。

いろいろなシンポジウムに出ているが、今はやりのパワーポイント・スライドによる説明は、素材感がないって言うか、ざらざら感がないって言うか、朗読をしているような無機的な講義に思える。

話すほうがすでにパワーポイント準備の段階で、話のストーリー/展開を予定してしまっているという点で、意外感や新鮮感や端無くもみえてしまう話し手の人間性の要素などが、パワーポイントの素材で隠されてしまう、というデメリットもあるんではなかろうか?

というわけで、今回の講義は、話し足りないことがいっぱいあるままに、あっという間に時間が終わってしまった感じだ。

最後の質問で、『小沢事件の今後の展開は?』なんて、きわどい質問があったが、『国会開会前の昨日(1月13日)の検察の捜索の動きから見ると、今日から開会日の1月18日までの金曜・土曜・日曜のあいだに、石川さんの逮捕はあるでしょうね。』なんて、政治評論家気取りのことを言ったら、昨日(1月16日)、そのとおりの展開になってしまったのには、いささか、後で、びっくりした。

以下は、今年の講義メモである。

講義メモ(2010年01月14日)

わが国における環境政治家の役割の変化について

1.政権交代と環境政策の変化

(1).これまでのスキーム

これまでの「政・官・民」の力関係は、グー・チョキ・パーの関係
政治家は、予算を取れなくなってきたし、小選挙区なので、専門力を行使できなくなってきた。
官僚は、許認可権限を奪われたり、委託研究による民間への甘いえさが行使出来なくなってき た。
民は、業界圧力としての政治家への働きかけが出来なくなってきた。

(2).新しい環境NGO/NPOの動き

このような中で、新しい「三権」として「NPO/NGO・官・民」の力関係が生まれてきた。
一方、環境NPO/NGOは、これまでの抵抗型の活動から、提案型の活動にシフトしてきた。
特に諫早干潟問題における山下弘文さんらの活動が契機になった。
代議制の形骸化と環境NPO/NGOの変質-行政側が、パブリックコメントなどを通じて、代議制をスルーして、直接、環境 NPO/NGOに働きかける比重が多くなってきた。

(3).政権交代後での環境政治家に求められる新たな役割

政治主導と官僚非依存によって、これまでの政・官・民のけん制関係が不透明になってきている。

(政⇔官⇔議)⇔(民)
というような関係に変質しつつある。

それにともなう官僚の萎縮が環境問題にどう影響を及ぼすのか?-よい面、悪い面-
議会内部での健全なチェック機能がはたされるのか?
議員立法の不活発化による影響は?
族議員不在の功罪
民主党政権の環境政策へのスタンスは?

これまでの民主党内における環境問題への取り組みへの評価-公共事業チェック機構を実現する議員の会(公共事業チェック議員の会)の活動や、諫早問題などへの取り組みでは評価できる人材がいる。
これまでのNPOへの近接度は自民党よりもあるが、これまでのNGO関連ブレーンの変質はあるだろう。

これからの民主党の課題-単なる公共事業反対のスタンスではなく、問題解決のための新しい政策スキームや出口戦略のスキームの構築が必要

2.民主党政権が志向しようとしている政策課題についての問題点

(1).ターゲット政策から直接支払い政策への転換

成長戦略としては、サプライ・サイドへのインセンティブからデマンド・サイドへのインセンティブへの転換
菅さんの言われる第三の道とは?
直接支払い政策は、デフレの罠にとらわれる可能性
直接支払い政策は、これまでの面的なインセンティブからホロニックなインセンティブへ、ニュートラルでありフラットなインセンティブへの転換であるが、その点が、民主党自身にも理解されていない嫌いがある。(『直接支払いとは、農協などを経由せずに、直接、国民の口座に現金が振り込まれることをさしている』、などと、平気で言う大臣もいる位だ。この大臣には、ニュートラルなインセンティブという点がまったく理解されていない。)
直接支払い政策の課題-トランザクション・コストの増大(徴税コストと措置コストがダブルにかかる)
必要な、トランザクションコスト低減のための納税者背番号制の導入の必要性

(2)出口戦略が見られないダム問題

すでにダムの費用便益比(B/C)に組み入れられている、ダムの水源をもとにした水系での農業かんがい排水事業などとの関係

ダム除去問題解決にミチゲーション手法を使うことは可能なのか?

アメリカ・ノースカロライナのミチゲーション・バンキング手法によるダム除去(Dam Removal)手法

最大可能ベースライン・ミチゲーション・クレジット(水生生物や人的要因による要素の修正前)=ダムにいたるまでの本流の河川長×係数+ダムにいたるまでの支流の河川長×係数
(係数は、護岸度が高いほど低く、護岸度が低いほど高い。また、河川幅が狭いほど高く、河川幅が広いほど低い。)

修正後ベースライン・ミチゲーション・クレジット=最大可能ベースライン・ミチゲーション・クレジット×修正係数
(修正係数は、①水質はどうか?、②水生生物のコミュニティが確保されているか?、③希少性水生生物種や絶滅危惧水生生物種がいるか?、の三つのうちのいくつに該当するかによって、該当する割合が多いほど修正係数は大きくなる。
また、人的要因としての修正係数は、河川沿岸のレクリェーション的な利用度や、環境教育的な利用度などをカウント修正)

このダム除去によって生まれる環境価値をクレジット(Credit)として、ミチゲーション・バンキングにデポジット(Deposit)し、対価として、環境にやさしい公共事業の開発権をデビット(Debit)として引き出す(Withdraw)というスキーム

(3)25%CO2削減目標は真水か京都メカニズム分をカウントか?

鳩山さんの90年比25%削減の中身が不明
自国での削減による目標達成のほか、他国での削減量を自国の削減としてカウントできる京都メカニズムがある。

京都メカニズム
①排出量取引(日本での排出権市場は成熟していない。シカゴのCCXやCCFE(先物)、ユーロのECXには、すでに勝てない。)、
②CDM(Clean Development Mechanism.途上国対応の削減プロジェクト実施、削減できた部分について、クレジットと受領)、
③JI(Joint Implementation.先進国対応の削減プロジェクト実施し、削減できた部分について、クレジットと受領)
からなっている。
このほか、現在、新たなスキームとして検討されているのが、
「REDD」(途上国の森林維持に与えるクレジット)
「セクトラル・クレディティング・メカニズム(SCM)」(産業部門別に達成部門に対して与えるクレジット)
「NAMAクレジット」(途上国に与えるクレジット)
などである。
日本は、そのどちらを主軸として削減目標25パーセントを鳩山さんが言っているのか、その戦略が不透明である。
環境問題の経済化(炭素関税など)への対応に備えるべきとき

(4)サードパーティーリスクの増大を考慮していない羽田ハブ空港化問題

航空機の発着に伴う発着一回あたりの離陸・着陸のリスクは低減しているが、総発着数の増大が、ハブ空港化によって、巨大な数に及ぶことによって、事故確率が増大。
着陸航路や離陸航路のゾーンにおける第三者に対するリスクが、累乗的に増大
これに、航空路下の精製所や発電プラントなどへの二次的なサード・パーティー・リスクが伴う。

(5)これまでのトレードオフのスキームによる環境利害調整スキームは見直す必要があるのではないのか?

排出権取引

汚染者負担原則
企業が利益拡大のみを目指したがために生じた「一方向外部経済」(One-Directional External DisEconomy)とともに、一地域において、面的に発生する外部不経済は、その地域の被害者が加害者でもある、という複雑な因果関係の下に生じている外部不経済(相互外部不経済-Reciprocal External DisEconomy-)を吸収できない、

No-Net-Loss原則(ミチゲーション・バンキング)
オンサイトでのトレードオフ
オンサイトとオフサイトとのトレード・オフ
イン・カインド(同種)とアウト・オブ・カインド(異種)とのトレード・オフ
期近と期先との間のトレード・オフ(時の要素を盛り込んだ新しいスキーム、拡大ミチゲーション構 想など )

環境スワップ(DNS)
「発展途上国の累積債務の返済負担軽減」

「保護区の設定など, 自然保護政策を確約させ、環境 NGO が金融機関から債権を割引価格で購入し,金融機関は途上 国の現地通貨を債務国に提供」
とのトレードオフ

(6)先進化する司法見解に政治はついていけるのか?

司法見解では認知されつつある環境権
反射的利益からの離脱
利益の比較衡量での環境権のカウント
公共益対私的利益間の利益の衡量から公共益と環境の公共益との比較衡量へ
地域不在者のもつ非使用価値を認めるか-原告適格性の拡大

鞆の浦景観訴訟広島地裁判決を例にして
景観利益は、地先権の利益の中に入り、公有水面埋め立て法の損得カウントに入れる。という画期的判決
反射利益以外のものが考慮された
時のアセスの観点から、環境紛争を長期化させない和解スキームの確立が必要

国立マンション問題-2006年3月30日、最高裁の国立マンション訴訟-の例
「住民の景観利益を認める」

沖縄・慶良間海域でのエコツーリズム推進法によるダイバーの立ち入り制限と海域での自然観光資源に対する地先権の問題

環境政治家に求められる新たな役割 -先進的な司法見解の取り入れと、行政に対する牽制力の発揮
アルビン・トフラー夫妻の「歴史にも時効を」の観点に立った応報的司法から、修復的司法へのシフト、
被害者・加害者和解プログラム(VORP Victim offender Reconciliation Program)や、被害者・加害者仲裁プログラム(VOM Victim Offender Mediation Program)のスキームの導入
除斥期間の起算点となる「不法行為の終了」かラ被害発生、除斥期間の満了(時効)にいたるまでの期間の中断のない長期化と「時のアセス」スキームの必要性
これまでの国家賠償法訴訟は、国側の控訴の連続で、原告の高齢化を待って、除斥期間に逃げ込むケースが見られた。

(7)、環境をスキームにした新しい貧困・雇用・景気対策スキーム確立の必要性

新しい景気刺激策は、サプライサイドに対するビッグプッシュでも、デマンドサイドに対するビッグプッシュでもなく、その中間である第三のサイドである、非利益追求型であり、非措置型でもある、主体に対するビッグプッシュである必要がある。
その第三の主体とは?
市民ビジネスであり
BOP(Bottom of Pyramid)ビジネスでもある。

たんなる直接支払いでなく、持続可能型のビッグプッシュによる景気浮揚を志向すべきである。

BOP(Bottom of Pyramid)ビジネスの国際的な具体的動きー
マイクロ・クレジット、
ITC Limited主体で行っている農業分野におけるe-Choupals、
貧困者特定マーケットに向けた商品の開発(水でゆすげるノンパッケージのシャンプーの商品開発など)、
環境悪化地域におけるごみ収集や環境浄化のための換金回路の構築、など
これらの国内版貧困ビジネス・スキームの構築

コミュニティ・オーガナイザーの必要性
農村開発の新手法としてのSME(Small and Medium-Sized Enterprieses)やLEADERプログラムの構築、ダイバーシフィケーション

直接支払い型の財政支出よりも、持続可能型の換金回路の構築が地域経済にとっては必要

3.その他-住民の環境要望を政策実現するまでのシェーマ-

住民の具体的な環境要望を法制度の実現にまで向かわせるための手順

マスコミ報道などを契機にしての政策変更を促すキーワードの発生と、そのキーワードに関心 を示すNGO/NPOやオピ二オンリーダー、政治家、官僚の発生

その機会を捉えての政治家を中心にしての勉強会やシンポジウムの開催を仕掛けるとともに、 NGO/NPOとの接触・情報交換などの機会の発生

それらを契機にして、これらのテーマを省益にしたい官僚の取り込みと、これらのキーワード を法制化する際の、インセンティブの確定と、調査費などの予算措置の確保

法制化を議員立法(衆法)でやるのか、内閣法(閣法)でやるのかの選択。議員立法でやる場合、担当 する委員会の選択。野党窓口の確保。野党との修正合意の根回し。 内閣法でやる場合は、キーワードが複数省庁にまたがる場合、その繋ぎとして、まず、議員立法 先行型で行う必要もあり。

議員立法でやる場合は、与野党の委員会理事間で合意をはかり、委員長提案で、討論省略、一 挙に採決する方法もある。

パブリック・コメントによる内容修正のフォロー

環境政治家に求められる新たな役割-
提案するNGOからの提案の積極的取り入れと、それをたたき台にして省庁と、解決策を探る努 力
官僚任せにしない、政治家自身の環境要望のシーズ探し 特に、改革特区制度を利用した環境要望の実現化
貧弱な議員立法のインセンティブの改善
フォーカス・グループの結成と、そこからのフィードバック
NPO提案を法制化に結びつけられうるようなアドボケート・プランナーの活用
代議制とNPOとを結びつけうるNPO of NPO的存在の充実

以上

2010年1月15日

秋田県の2010年産米生産数量目標の市町村配分一応決定

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:32 PM

2009年産米で大潟村など3市村に科したペナルティー計5216トンの3分の1に当たる1739トンを残り22市町村から一律に削減し、3市村に追加配分

3年で是正という形になる模様。

大潟村の転作率(生産調整の面積の水田面積に占める割合)は48.7%となる。県平均との差は12ポイントと09年の15.4ポイントから縮まる。

大潟村の削減負担の軽減量は、前年対比△1884トンに終わった。

もっとも、減反破り派は、これまで、ペナルティがかかろうとかかるまいと無視してきたのだから、どうってことはないのかもしれない。

あとは、大潟村内部での、減反遵守派と減反非遵守派とのあいだの問題となる。(大潟村内部では、減反遵守派64.3%作付け可能、減反非遵守派38.2%作付け可能、この両者のアンバランスは、大潟村内部で、さらに、入れ子的にダブルの激変緩和措置がとられ是正するしかない。)

マクロでの謝罪を後回しにして、ミクロでの謝罪を優先させてしまった、赤松農林水産大臣ご自身が昨年11月26日に放ったブーメランが、結局、大潟村にかえってきてしまったという形だ。

これに対して、秋田農政事務所の綿谷弘勝事務所長は「新たに参加する農家にとって高いハードルとなる配分は不適切だ。農林水産省に結果を伝え、判断を仰ぎたい」と述べ、国が配分の再考を求める可能性に含みを残している。

でも、これ以上、農林水産省が突っ張ると、逆に国が痛い目を見るだけなんだが--

もし、それを言うのだったら、なぜ、全国配分段階で、過去のペナルティの処理についてのマクロでの方針なり、調整配分なりをしなかったのか?

国はこの段階で、村への配分増を考慮して県別配分をするべきだったのだ。

国の不作為といわれても、仕方がない。

地域自決主義といいながら、国の意にそわない地域の総意が出たときには、いちゃもんをつける、では、発展途上国のお上と同じような貧しさを感じるのだが。

参考

秋田県の生産数量目標
2006年 497290トン
2007年 499280
2008年 474810
2009年 467160
2010年 461870

国の秋田県に対するペナルティー
2006年 8442トン
2007年 5230
2008年 3542
2009年 292
2010年 0

うち、大潟村のペナルティー
2006年 6085トン
2007年 4341
2008年 3000
2009年 274
2010年 0

秋田県独自の大潟村に対するペナルティー
2006年 -
2007年 -
2008年 924トン
2009年 4830
2010年 3220

大潟村の全削減数量
2006年 6085トン
2007年 4341
2008年 3924
2009年 5104
2010年 3220

追記 配分修正(2010年1月18日)

県の2010年産米の生産数量目標の市町村別配分に対し、赤松農相が再考を求めていた問題で、県は18日、大潟村に実質的に残していたペナルティーを全面的に解消することを決めた配分数量を各市町村に通知した。佐竹知事は「本県が大きな不利益を受けることを避けるための苦渋の決断」と理解を求めた。

新方針では、09年産米の市町村別の生産数量目標で大潟村など3市村に科された5216トン(うち大潟村分4830トン)を解消する一方で、減反達成市町村に同量を割り振った。

これにより、大潟村は生産数量目標は前年比18・2%の大幅増となったが、能代、男鹿、潟上を除く減反達成市町村は、当初よりも減少幅が拡大し、2・4~2・5%減ることになった。

県内一のコメ所で最も大きな数量を削減された大仙市の高嶋良美・農林振興課長は「正直者がバカを見る結果だ」と不満を示した。
一方、大潟村の高橋正行・産業建設課長は「今回、大潟村のペナルティーが他の市町村から減じられることになったが、これまでは逆だったことをご理解いただきたい」と話した。

県では不公平感を払拭(ふっしょく)するため、農家への新たな支援策を10年度当初予算案に計上する方針。具体的には新制度で助成金が目減りする大豆などの転作作物に対し、県独自で上乗せする案などを検討するという。

以下は私の感想

以上の佐竹知事苦渋の選択だったが、この間における秋田県選出衆参国会議員が、秋田県のために調整に動いた節は見られない。

間に立った佐竹知事、木村JA県中会長をはじめとした協議会のメンバーが、自らの立場を犠牲にしての大人の対応でもって、農林水産省の面子もたてて、一応の結論に達したという形だ。

赤松農林水産大臣も大人気ないリアクションぶり、秋田県選出民主党衆参国会議員も能無しの体たらく、いったい、秋田県のこれからの農政はどうなるんでしょうかね。

◇修正後市町村別生産数量目標◇

市町村   生産目標(トン)  増減

(率) (面積)

鹿角市    12,830 ▼ 2.5 ▼ 59

小坂町     1,453 ▼ 2.4 ▼  9

大館市    22,673 ▼ 2.5 ▼111

北秋田市   18,564 ▼ 2.5 ▼ 87

上小阿仁村   1,609 ▼ 2.5 ▼  8

能代市    22,775   0.4   24

藤里町     2,778 ▼ 2.4 ▼ 13

三種町    21,131 ▼ 2.5 ▼101

八峰町     6,540 ▼ 2.5 ▼ 27

秋田市    28,280 ▼ 2.5 ▼140

男鹿市    15,128 ▼ 1.1 ▼ 30

潟上市    11,317 ▼ 0.8 ▼ 16

五城目町    5,751 ▼ 2.5 ▼ 28

八郎潟町    4,167 ▼ 2.5 ▼ 21

井川町     4,179 ▼ 2.5 ▼ 19

大潟村    29,580  18.2  790

由利本荘市  38,502 ▼ 2.5 ▼159

にかほ市   12,165 ▼ 2.5 ▼ 43

大仙市    67,255 ▼ 2.5 ▼272

仙北市    17,215 ▼ 2.5 ▼ 56

美郷町    22,963 ▼ 2.5 ▼ 92

横手市    59,291 ▼ 2.5 ▼289

湯沢市    21,359 ▼ 2.5 ▼ 86

羽後町    13,191 ▼ 2.5 ▼ 49

東成瀬村    1,174 ▼ 2.5 ▼  6

計     461,870 ▼ 1.1 ▼907

※▼はマイナス。増減率は%で面積換算の単位はヘクタール

追記2.1月20日付けの地元紙『秋田魁新報』の社説

社説:コメ配分格差解消 地域事情無視の国指導
2010年産米の生産数量目標の市町村配分で県は、生産調整(減反)未達成の大潟村など3市村に県独自の配分格差(ペナルティー)を残す当初方針を撤回、ペナルティーを10年度で一気に解消することにした。解消しなければ新設の戸別所得補償制度のモデル事業から本県を外すという「圧力」が国からあったためだ。地域事情を無視した国の強権ぶりには憤りを覚える。民主党の掲げる「地域主権」の趣旨にも逆行するだろう。

戸別所得補償制度を導入するに当たって国は、営農に支障を来すとしてペナルティーの全量解消を打ち出したが、地域によっては過去の経緯もあるため暫定期間として3年程度での全量解消もやむなしとしていた。これを踏まえ市町村への配分を協議する県米政策推進協議会(会長・佐竹敬久知事)は、生産調整未達成の3市村に対し09年度に科した県独自のペナルティー5200トンのうち、10年度は3分の1の1700トン(うち大潟村1600トン)を科すことにし、残り3分の2は2年程度で解消することを決定した。

これに赤松広隆農相が「大潟村の減反非協力農家はこれではやっていけない。秋田の決定を認めるわけにはいかない」と激怒。来県した農水省幹部も、10年度での全量解消を強く求め、解消しなければモデル事業の対象外にすることも示唆した。

国がモデル事業などの制度を詳しく都道府県に説明したのは昨年末のことだ。自らの制度設計の遅れから県への指導に適切さを欠いた点は否めない。また県が国の真意を測りかねたことも混乱の一因だろう。

本県の農家の8割は減反に協力してきており、こうした農家へのねぎらいの言葉もなく、とにかく大潟村へのペナルティー解消を強調する国の姿勢には、多くの農家が「正直者がばかをみるようなもの」と強い不満を抱いている。過去を一切水に流せといっても、言うはやすく行うは難しだ。それを数年かけて解決するという県の選択は、ベストではないにしろベターだったと考える。

ただ、国から言われたから従うという県側の姿勢は主体性がなく、弱腰と言わざるを得ない。確かにモデル事業から本県が外されるとなれば、農家への打撃は大きい。しかし、福島県などは数年かけて全量解消することを決め、国も容認する方向だ。本県の場合、解消幅が小さいため国が問題視したのだ。とすれば、解消幅を80%、90%へ引き上げるという選択もあったのではないか。地域の思いを代表して国へ抵抗を示すことも知事には求められる。

ともかく県は全量解消を決定した。生産数量目標の配分は大潟村と能代市を除く23市町村で減少する。生産調整に協力してきた農家には追加的な負担が伴う。県はこれら農家に数億円規模の支援策を打ち出した。着実に実行してもらいたい。

追記3 2010年1月15日の赤松農林水産大臣の記者会見より

以下、大臣記者会見

大臣
それと、あと、昨日、例の、秋田県の、非常に全国注目の中で、協議会が行われたようでございますけれども、秋田県の農政事務所の所長も参加をして、これ、やっていまして、結論で言えば、決まらなかったというのが結論なんですけれども、ただ、信じられないようなことが出ているのが、これ、ちょっと(記者に) 配って。
ここに、要は、全農の人だとか、そういう人たちは、あるいは、今までいい目をしたきた人たちは、ペナルティーは、そのままやるべきだということで、せいぜいあれしても、3分の1ぐらいの補正しか認めないと、俺らは、断固今までの数字を守り抜くんだみたいなことで言っていると。この表の、ここを見てもらうと分かるのですが、「その他の市町村」のところでも、わずか、0.4パーセントぐらいでさえ譲らないと、譲らないと。自分たちは、断固65.何パーセントを保持するんだというようなことを、平気でこういうことを主張しているということで、今まで、とにかく、非協力だったやつは、もう、38パーセントでいいんだということは、そういう低くして、そういうやつは、もう入ってこないようにして、今までどおり自分たちが、高い率の、人の分を全部、こうもらって多くやっているわけですから、それを保持したいというようなことを平気で言っていると、信じられないことですけれども。
ただ、僕らは、簡単に分かりやすく、時代は変わったということ、まだ、分かっていませんねということ、言い方しているのですが、時代が変わったという意味は、前回、去年までは、コメを作ることに、別に、税金は入ってなかったんです。転作したら、転作の方については出るけれども、コメそのものについては、税金入っていないわけ。ところが、今度は、コメ作ることそのものに税金が入っていくわけですから、決められた基準以上の税金を、勝手に自分が枠を拡げて、もらうなんてことは、認められるわけがないので、その辺のところを、やっぱり、ちょっと、まだ理解をしてもらってないんじゃないかというふうに思います。
ただ、私は、非常に、そういう意味では、現実論者ですから、教条的に、そういうことを言っているんじゃなくて、大原則を、まず、それを認めてもらわないと話は進みませんよと。ただ、大原則を認めた上で、激変緩和みたいな形で、今まで65ぐらいだったのを、じゃあ、ドーンと、涌井さんたちと横一列一緒なんていうことを言っているわけじゃなくて、これは2年、3年かけて、そこへ持って行ってもらえばいいけれども、まず、その前提を認めてもらわないと、それは、もう話進みませんし、たまたま、じゃあ、2年後に、3年後に、ゼロに、差はゼロにするから、そのために今年は、まず、このままで、何とか勘弁してくれと、あるいは、ここまでだったら、何とかできるということの話合いでないと、これは、何ともならない。
これは、同様のことを、別に、僕は、涌井さん達だけに肩持っているわけじゃなくて、涌井さんにも言っています。いっぺんに、今までの経過があるから、そんな、直ちに、みんなと一緒というわけにはいかないよと、だから、多少、しかし、ペナルティーを科さないという原則があるのだから、そういうことを見越して、まあ、そこそこのところで、やっぱりきちっと話合いして、合意をして、やりなさいということを言っているわけで、まあ、ここからは、じゃあ、どうするのかという話ですが、今まで、(総合食料局食糧)部長を、(秋田農政事務)所長だけでは、なかなか権限もありませんから、総合食料局の部長を行かせてましたけれども、今度は、部長よりも、一つレベルアップして、もう、(総合食料)局長に、直接、秋田へ行って、きちっと、それ話してこいと、もちろん、こんな、例えば、数字で38.いくつ、片や、65.3なんていうことであれば、農水大臣としては認められないので、これはもう、はっきりそういうことをお伝えしてらっしゃいということを、指示をいたしました。
髙橋(総合食料)局長は、明日行くのか、いつ行くのか分かりませんが、それは、今日、午前中に指示をいたしましたので、基本的には、そういう考え方でいきたいというふうに思っております。涌井さんの方も、今、もう、是非、この生産調整を含む米戸別所得補償制度に、是非、積極的に参加をしたいと、その時には、当然、コメを作れなくなる水田も増えるわけですから、それを一体どうするかということで、今、伝え聞くところによると、例えば、オーストラリアから、米粉のうどんを、是非、それを見積もりしてくれと、1コンテナ分ですね、その分を、見積もりして、値段が合えば、是非、輸入したいと、向こう側から言えば輸入、こちら側から言えば輸出できるということも、今、どんどん進んでいますので、そういう意味で言えば、非常に、食料自給率を向上させていくと、あるいは、今までも、そういう意味で言えば、ものすごい数の、決められた以上のコメを、どんどん作っていたわけですから、これをなくしてもらう代わりに、しかし、空いた水田の、そういう有効利活用ということについても、この制度に従って、米粉を中心としたところにシフトをしてもらえるということになるわけで、これが崩れますと、じゃあ、今までどおり、これは強制じゃありませんから、じゃあ、入らないんだったら、好きに、じゃあ、おコメを作らせてもらいますわというと、もう、作りまくって、全体の供給過剰になって、値段が下がっていくというような最悪のパターンになり得ますので、秋田だけこういうことを認めるというわけにはいきませんし、これは、全国注目をしている案件でございますので、きちっと、適正に、厳しく、原則を重視してやっていきたいということを、私の口から改めて申し上げておきたいと思います。

記者

今の、秋田県との協議、その話なんですが、局長を派遣されると聞きましたが、具体的に、国としてのスタンスは、再考を求めるというようなスタンスなのか、あるいは、具体的な数字の水準を示されるのか、その辺りのスタンスはいかがなんでしょうか。

大臣

だから、まず、大原則は、さっきも言ったように、ペナルティーを科さないと。過去、いろいろあったとしても、それを乗り越えて、みんなが理解と納得の上で、やっていくんだということを、まず認めてもらわないと、「あんな、今まで迷惑かけてきたやつは、とんでもない」、「正直者が馬鹿を見るようなことは許せない」みたいなことを言っていたんじゃ、これは話にならないわけですよ。
ですから、そういう意味で、まず、大前提を、この制度を、何度も言っているように、強制じゃないんですから、みんなが納得して入ってもらわないと困るわけだから、その上で、じゃあ、過去、しかし、そうは言っても、これだけの差があると、20何対、もう70に近い数字ですから、これはもう入らないという前提だから、20だろうが、0(ゼロ)だっていいんですね、極端に言えば。
だけど、今度は、もう入るという前提なんで、これが、もう、そのままでいいんだなんていうことは成り立たないわけで、ですから、「じゃあ、激変緩和もあるから、まあ、この辺のところでどうだ」とか、「ここまでは何とかできるけれど、何とかこれで納得してくれよ」ということにならないと、これは話にならないわけですね。
ですから、僕は、そんな難しいことを言ったり、どちらかに肩を持ったりなんていうつもりは全くありません。公平・公正にやってください、話合いで、しかし、今年、エイ、ヤーで全部できるとは思ってません、多少、2年、3年のことはいいでしょう、しかし、その、いく前提でそうなっていかないと。是非、皆さん方も、じゃあ、協議会の中身、取材されれば分かると思いますけれども、もともと、そんな非協力なやつはけしからんと、とんでもないという、そういう論理では、この制度は進んでいかないんです。ですから、そこを、ちょっと変えてもらわないと、物議をまた醸し出すかも知れませんが、どうしても、その制度は嫌だと、納得できないと、俺は70欲しいんだ、65なきゃ嫌だということにこだわるんだったら、もう、この制度に乗らないわけですから、だから、それはもう自分自身で考えてもらわざるをえないということです。

記者

今の問題に関連して、局長さんは、何日に派遣・・・。

大臣

だから、まだ決めていない。今朝、指示して、もう部長じゃ話にならないから、局長が行ってやってこいということを指示したということです。

記者

本日という可能性もあるのでしょうか。

大臣

まあ、ないでしょう。それは。

記者

週明けという・・・。

大臣

公務員ですからね、ちゃんと出張申請を書いて、判をずっと押して、行かなきゃいけませんから、政治家は自由に動きますけれども、役人はそういうわけにいきませんので、明日以降ということになると思います。

記者

昨日の秋田の協議会では、今までのペナルティーの3分の1を来年度で減らしていくんだというような内容だったと思うんですけれども、大臣としても、いきなり初年度から横一線でなくてもいいというお話なさってますけれども、そうすると、その、どのくらいの程度をもってすれば、大臣としては納得できるのでしょうか。

大臣

そんなことは、この場で僕が言うことじゃないと思います。最終的には、私が政治判断で決めることになると思いますが、まずは、局長が、前提を、まず考え直してもらいたい、いい、さっきも言ったけれど、わずか0.4減ることでさえ、こだわっているんですから、こんなんじゃ話にならないわけですよ。
しかも、さっき言ったように、今まで、コメ作ったら金は一銭ももらえないけれど、今度は、作れば作るほどお金入ってくるわけですから、例えば、10ヘクタールやったら、150万(円)、黙ってても入ってくるわけですよ、そうでしょう。こっちの自給力(水田利活用自給力向上事業)は別としても、別としても、こっちだけやったってそれだけ入ってくるということですから、これは税金なんですから、その人達のお金一銭も入ってないんですから、ですから、そいういう意味で、税金を、こんな厳しい経済状況の中で、5,618億、満額認めてもらって、それで僕らは使わせていただくわけですよ、だから、一円たりともそういう無駄は、使えないと、そういう意味で、有効にそれを活かしてもらうためには、やっばり、ちゃんとした使い方してもらわないと、それは国民が納得しませんよ。
今、ただでさえ、何で農家にだけ、何で農業にだけ、そんな手厚い保護やるんだみたいな声が、ないわけじゃないんですよね。僕ら、それを一生懸命説得して、お話しして、理解いただけるようにやってますけれども、しかし、今なお、国民全体で言えば、そういう声ってものすごく強いんですから、だから、それを、旧来はこうだったとか、自民党時代はこうだったとか、そんな論理は、もう通用しないんです、悪いんですけれど。

記者

確認ですけれど、現状としては、これ、秋田の、昨日決めた方針というのは、これは、ペナルティーに・・・。

大臣

決めたんじゃないんです、「物別れ」ね。

記者

大臣としては、ペナルティーに該当するというお考えであるということでよろしいわけですか。

大臣

ペナルティーって、どういう意味?

記者

昨日、秋田が決めようとした内容については、大原則には、反しているという・・・。

大臣

だから、ペナルティーはそのまま残せと言うことでしょう、残せと言うことでしょう、その人たちは。
だから、そういう考え方は、ペナルティーは科さないというのが、今度の、制度の、別に秋田のためにそう言ったわけじゃなくて、もともとの全体の制度を作る時に、そういう過去どうだったとかいうペナルティーは科しませんと、それが、この制度の大前提ですということを、一番最初の時に決めたわけですから。だから、そういう原則に従って、ただ、いろいろな地域事情や、激変緩和や、そんなことは、それはあるでしょう、僕は、だから、そんなことは途中から変えたんじゃなくて、最初から、教条的に言ってるのではなくて、そういうことは、十分加味してやればいいでしょうと。頭からズバーッとやるんじゃなくて、できるだけ話し合いをやって、積み上げて、どうしても、それで物別れならば、これは、しょうがないですけれども、まだ、そこの段階まで行ってないと思ってますから、だから、それを今まで部長も一生懸命やってくれましたけれども、部長で話がつかないとしたら、今度は局長に行ってもらって、髙橋さんの粘り腰で、しっかり、もう手紙書くんじゃなくて、直接、今度は、面と向かって話して説得してもらうということを、僕は、髙橋局長、高く買ってますから、彼なら、ある程度、理解をしてもらえるようにがんばれるんじゃないかということで、とりあえず・・・。

記者

再考を求めるということでよろしいのでしょうか。

大臣

もちろんそうですね。少なくとも、言えることは、38.2では僕は認めませんから、絶対に。ここから一歩ももう、引けませんだったら、もう、それは話になりませんね。

記者

つまり、現状のままで行くんであれば、戸別所得補償制度には入れないということでよろしい・・・。

大臣

もちろん、そのために交渉するのですから。ただ、あまり先を見越さないで。ただ、「これで認めて下さい」と言われても、「ああそうですか、まあ、しょうがないですね、ここの秋田は」なんていうことにはなりませんよということだけは、はっきりしています。

追記4.平成22年1月19日大臣記者会見

大臣
それから、本当は、昨日、臨時閣議の後、皆さんが言ってくれれば、是非、そこで発言したかったんだけれど、定例閣議の時しか、記者会見をやらないということなので、今日、事実上、一日遅れですが、ご報告申し上げたいと思いますけれども、例の秋田問題についてでございます。
もう、一部の新聞では報道されておりますけれども、先週末に、私が表を示して、こんなことでは、これはもう、参加するなということを、事実上、言っているようなものだと、こんなものは認められないと、直ちに、担当局長を現地に派遣をして、しっかり現地の皆さん方に納得いただけるように、行かせるということで、土曜日の日に、髙橋総合食料局長が行きまして、ご存じのとおり、午前中に知事に、そして、午後からの協議会にも、局長自らが出て、正直なところ、こんなスパッときれいに一発で片付くとは思わなかったんですが、最終的には、私なり、政務三役が出かけて行って、やらざるを得ないのかなということを覚悟していたんですけれども、局長もがんばってくれましたし、また、知事をはじめ、現地の皆さん方も、国の方針である以上、思いはいろいろあるとしても、それに従ってやっていこうということで、ご判断をいただきました。したがいまして、昨日ですけれども、正式に秋田県におきましても、県内の市町村に対して、22 年産米、食用米の生産数量目標の配分が行われたところでございます。
この件について、改めて、佐竹県知事をはじめとして、秋田県関係者や秋田県米政策推進協議会の方々など、地元で大変ご苦労いただいた皆様方に、心から感謝と敬意を表したいというふうに思います。特に、これまで、需給調整を遵守されてきた多くの秋田県の農家の方々には、深く感謝を申し上げるところでございます。今後は、米所得補償モデル事業の円滑な実施に向け、秋田県下一丸となって取り組んでいただき、その成果が挙げられるようお願いを申し上げたいというふうに思ってます。
同様な例が、実は、福島やいくつかの地域でもありまして、秋田が一番そういう分かりやすい構図というか、数量的にも多いところなものですから、それを注目しておられたところについても、秋田が、そういう形で、ペナルティーを全量解消すると、よく、前段では、4千8百(トン)と言っていたんですが、それは、大潟村とか、あそこだけだとそうなんですが、あと、能代市だとか、他のところも三か所ぐらいあるものですから、それを入れると、5千2百ぐらいに、正式には、5,216トンになりますけれども、全て、これを解消する、一発で解消することができるということでございますし、ある意味で言えば、これはもう、私が、当初から言ってきたように、激変緩和も、それはあると、今まで、協力してこなかった、新たに今回参加したいと言われる方達についても、そのことは、申し上げてきたわけで、そういう意味で言えば、その方たちもぎりぎり、これぐらいは認めていただければ、自分たちは、多少、他と差があっても、是非、参加したいというところで、うまく折り合っていただいたということでございまして、非常にいい形で決着ができたということで、お礼申し上げたいというふうに思っております。

記者

秋田の、生産する目標のことなんですけれども、ペナルティーを全量解消することによって、大潟村などの他市町村は、結果的に減反強化という形になるわけですけれども、そのことについて、やりきれなさというか、一部、不満みたいな声も挙がっていますけれども、そのことについては、大臣として、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

大臣

そういう方たちの言い方としては、「正直者が馬鹿を見るのか」と、そういう言い方が多いと思うのですけれども、ただ、ちょっと、これは、もう繰り返し言っていることなのですが、たしかに、今、僕が感謝を申し上げたように、旧来、前政権とはいえ、僕らから言うと、「作らせない農業」と言ってきましたけれども、そういう政策の下に従って、粛々(しゅくしゅく)と協力をしてこられた、そういう方たちの、制度に従って、国の農業政策に、とにかく従ってやっていこうということで、やってこられた方たちのお気持ちは分かりますけれども、ただ、だからといって、僕らが言っているのは、今までは、作らないことに対する税金というのは、全くないのですよと。転作をしたら、ここには付いたにしても、このことによって、コメを作ったことで、1円たりとも、その人たち、もらってないわけですね。

(笹山注:これはまた、トンでもな屁理屈でありますね。減反を守ったことで、減反遵守派は、その時点で、本来なら得られたであろう機会利益を失ったのだし、減反非遵守派は、機会利益を享受できた。つまり、減反下において、減反破りをしたものは、コメ商品の希少性の環境の元で、機会利益を確保しえてきたということを、故意に赤松大臣は、見逃している。ということになりますね。)

ところが、今度は、コメを作れば、作ったことそのものに、今度は税金が入っていくわけですから、しかも、当初、地元が出してきた案のように、こうなっていると、他人の取り分を自分の取り分の方に乗っけて、余分に、その分を、税金をもらっちゃうと、補助金もらうと、見ようによっては、これは、もらってはいけない余分な税金を、補助金を、もらっちゃうということになるわけですから、これは、今まで、皆さんが、気持ちの問題とは別に、不正な形で、お金を余分に特定の人たちだけに交付するというわけには、これはいきませんよと。だから、それは、是非、理解してくださいということで、私も、記者会見で言ってきましたし、髙橋局長も、そういうことを言ってきました。
ですから、そういう意味で言えば、今までやってこられたことを感謝はしますし、否定はしませんが、だからといって、今までやってきたんだから、今まで協力しなかったやつと差を付けて、俺たちだけいい目をさせてくれということは通りませんねということなのです。
ですから、しかも、これは、あくまでも、国の政策だと、指針を文書で欲しいというので、そういう文書を出して、昨日、出しましたけれども、あくまでも、国の政策なので、地方が独自にやる制度じゃないんですと、だから、国の統一的な、全国統一的な制度でやる以上は、それに従ってやっていただかなければいけません。財政状況は厳しくて、みんな、ぞわぞわ切られている、補助制度がなくなる、交付金もなくなっちゃう、そういう中で、新たにこれは、税金を使って、国民の理解を得てやる事業ですから、これは、やっぱり公平さ、公正さがなければ、それはもう、国民は納得しませんから、そういう意味で言えば、この制度に入りたいと、入って交付金をもらいたいという以上は、その仕組み、基準、制度に従っていただけなければいけないということだと思います。
ですから、本来、あれらの分を、自分のところにくっつければ、もっとたくさん作れたのになと思われるかも知れませんが、前回も、多少、ほんの数ポイント下がるにしても、しかし、今度は、作ったことに、今までゼロだったものが、お金が、ドーンと入るわけですから、前も言いましたけれども、本当に、ただ、あそこで作るというだけで、150万(円)、200万(円)が、ドーンと乗っかってくるわけですから、しかも、転作したら、転作後にも、また付いてくるということなので、それは、「トータルすれば、前制度と今の制度と、どっちが得ですか」と言えば、少なくとも、前、この2年前、1年前と比べて、作る量が減っても、その人たちの実入りは、ドーンと増えるわけですから、そういう意味で、我々、強制したわけではありませんけれども、そういう方たちも含めて、是非、この制度で参加したいと、そういう選択をされたということだと思います。
あくまでも、僕は最初から言ってますが、これは、強制じゃないのです、入りたい人が入るのです、入りたくない人は、入らなくていいのですということで、一方、この制度、今までの農政に反対してきた涌井さんたちのグループも、是非、入らせてください、ということでやったと。ペナルティーは、全量、これでスパッと解決しましたけれども、あとは、若干の、経過がありますから、村の中でも、大潟村の中でも、その調整は、これは、自由に話合いで決めればいいわけですから、若干の差は付きますけれども、これは、みんなが納得して、こういう割合でいこうということを決めたわけですから、私は、別に自慢気に言うわけじゃありませんけれども、皆さんの努力で、本当に、いい結果に落ち着いたというふうに思っております。

記者

生産調整について、いろいろ話が飛んで、恐縮ですけれども、衆院選前の民主党の提案では、生産数量目標の配分主体というのは、国と都道府県と市町村が、農業者の意向を踏まえてするんだという提案だったわけですよね。今回、モデル対策ということもあって、そこまでの法改正というのは、時間的にも間に合わなかったかと思うんですけれども、来年産の、モデル事業から本格実施に向けた配分に向かっていった時に、今までどおり、生産数量目標の配分というのは、生産出荷団体がやっていくという方向がいいと今でも思われているのか、それともやはり、国とか都道府県とか市町村とかが、策定していった方がいいと思っているのか、そこら辺のところ、今の時点での、大臣としてのご見解は。

大臣

一番いいのは、地元の意見を尊重しながら、しかし、国のお金でやるわけですから、形式的には国が決めるというのが一番いいと思います。地元の意向を無視してやろうなんていうつもりは、さらさらありませんから。
だから、今回の秋田でも、結果的にはそういうことですから、地元の人が納得していただいたから、これで片付いたということで、地元の意向、これは全国どこであろうが、その意向は、十分尊重しながら、しかし、地元が決めたからといって、さっき言ったように、これは税金を使うわけですから、それは勝手に使っていいと、かつての制度を批判するわけじゃないですけれど、「つかみ金」みたいなのを渡して、これは、各県が自由に使いたいところに使いなさいと、じゃあ、俺のところは果樹にこれだけ注ぐぞ、あれにやるぞ、みたいな、そういうことが、今までは許されてきたかも知れないけれど、今後は、そんなわけに、なかなかいかんでしょうと。
ですから、あくまでも地元で話し合ってもらったり、あるいは、地元の意向はこうだということは尊重しますけど、あくまでも国の事業ですから、国のお金を直接払うわけですから、そういう意味で言えば、最終的には、国が決めさせていただくということが、一番いいんじゃないですかね。

記者

秋田の問題で、ちょっと確認させてください。佐竹知事は、2010年産米に科そうとしていたペナルティーの全量解消をもって、これでゴールなんだというふうな認識を持っているように聞いてるんですけれども、大臣の発言、過去の発言等振り返ると、要するに、まず参加できるギリギリのラインが、配分率で言うと、50点いくつだということで、今回それになったわけなんですが、それでもまだ、減反遵守派と自由作付派の間では、10ポイント以上の差があって、その中には、様々な要素があるらしいんですが、過去の累積ペナルティーを加味して、その差ができているという、要するに、ペナルティー的要素というのは、 2010年産米に関しては、全量解消されたわけなんですが、過去の分で、まだ10ポイント近くの差が生まれているというふうな指摘もあって、そうすると、大臣の認識としては、あくまでこれはスタートラインで、激変緩和に向けて、あと2、3年かけて、前回もおっしゃっていた、横一線になるようなことが望ましいんだというふうに僕は理解しているんですが、ゴールなのか、スタートラインなのかという、たぶん認識のギャップがここで解消されないと、たぶん、来年、再来年と、レベルはちょっと、差はちっちゃくはなってくると思うんですが、まだ、そういう税金を投入する上で、不公平感というのが残る可能性があると思うんですね。そこで、大臣のご認識というのは・・・。

大臣

だから、激変緩和というのは、急に極端に変わるから、激変緩和するんであって、「そのまま、ここが最終点ですよ」は、激変緩和じゃないわけですよ。だから、僕は、もう、これ、別に大潟村だから言うんじゃないんですよ、どの地域であっても、そういうことは、激変緩和措置はあってもいいけれども、ですから、2年、3年かけて、せいぜい、それぐらいの年数で、本来のあるべき姿にしていくように努力してもらうということですよ。

記者

残りの10ポイントは、2、3年かけて横一線になるようにというような思いは持ってらっしゃるということでよろしいでしょうか。

大臣

そうですね、そういうことだと思います。ただ、実際は、7ポイントぐらいじゃないのかな、あれはね。だから、次の年に、2、3ポイント、また次に 2、3ポイントやっていけば、できるような数字ですし、今度は、みんなが生産数量目標を守るわけですから、基本的には。だから、かつてのようなコメが暴落するとかいうこともあまり想定しにくいんですよね。そうすると、値段がしっかり保持されて、しかも、コメを作ることに、それが今までなかったのが、ドーンと、お金がくるということになれば、じゃあ、2、3ポイントが許容できなくて、この制度に、俺は参加しないんだと言うかといったら、言わないですよね。だから、それはそう心配してません。

2010年1月9日

30時間しか持たなかった菅さんの口先介入効果

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:35 PM

減少幅は、市場予想の2万5000人減を大きく上回った。

これを受けて、ユーロ・ドルは、1.4263から1.4392に、また、ドル・円は93.43円から一気に92.27円台にまでなった。

結局、ドル・円は、一昨日の菅さんの口先介入前の円高水準に戻した格好となった。

菅さんの口先介入効果は、春の淡雪のごとく、わずか、30時間の効果しかなかったということになる。

所詮は市場にはかなわぬものと、菅さん、もってめいすべし。

2010年1月8日

昨日の菅さんの口先介入への市場の評価は?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:39 PM

今日のフィナンシャルタイムズの記事「Japan’s new finance minister in U-turn」なんか見ても、おおむね、好意的なとらえ方はされているようですね。

もっとも、この記事、日本人記者が書いたもんですけど。

問題は、日銀との協調だということが強調されている。
(The biggest challenge for Mr Kan, however, would be to work with the BoJ to tackle deflation, analysts said. )

白川日銀総裁が菅さんにあおられうるかどうか、このあたりがポイントになるのでしょうかね。

もっとも、日銀側は、成長への期待を高めるのは、政府の役割で、自分たちは、国民の期待が本格的になったら、いつでも、それに必要な流動性確保はいたしますよ、ってスタンスなのですよね。

すなわち、「デフレの主要因は、バブル崩壊後の国民の自信の喪失であり、これが需要不足を生み出しているのであり、日銀は、これについては、なすすべはないのだから、この自身回復がなせるのは、政府からの強いコミットメントしかないのだし、日銀は、もし、政府からの強いコミットメントがあれば、それに応じて、順々としたがっていくし、その結果、期待成長率が上昇していけば、日銀としては、そのような国民なり市場からの期待にいつでもこたえられるような、新型オペによるものも含めて、潤沢な通貨供給の供えはしておく。」というスタンスなのでしょう。

つまり「デフレスパイラルを防ぐために流動性を潤沢に供給し、金融市場や金融システムの安定をしっかり維持していく」までのことはいたしますが、それ以上のことは、日銀の出る幕ではありません、というスタンスなのでしょう。

だから、この名前のごとく、水のごとく、シラーっとした白川日銀総裁のスタンスに対して、今後、菅さんの”イラ菅”が、いつ極点となって昂じるのか?って言う構図になるんではないでしょうかね。

まあ、菅さんなら、タブーなしに、米国債(売却あるいは、日銀による米国債購入、政府短期証券(外国為替資金証券)と両建て関係にある埋蔵金的な米国債もふくめて-最も、こちらは、有力な国債利子収入の原資でもあり、利を生んでいく金の卵的なものなので、一概に民主党さんがいっているような静態的な意味での埋蔵金扱いは、できないのではないのでしょうかね?)にまで、言及するとも思われますが。

こりゃあ、究極の市場口先介入です罠。

それにしても、民主党政権になってから、直嶋発言、藤井発言、そして、今回の菅発言などなど、大臣の口先介入(verbal intervention)が多くなっているような気はしますね。

秋田の秋田弁(あつた弁)ナマハゲアニメ「んだがらしゃ」流にいうと、「大臣発言~~利用すぃて~~FX!取引すぃてる~~民主党関係者~~いねぇがゃ? ~~アヤスカっ!、アヤスカっ!、オメ、ほずぃねぇごど~~、するなでぃぁ~~」—といいたいのですが。

モラルハザード&インサイダー、皆さん大丈夫ですか?

もっとも、せっかくの昨日の大臣の口先介入も、今晩のアメリカ12月雇用統計にはかなわないのが、一抹の救いではありますが。

蛇足ですが、アメリカ雇用統計を利用したFX戦略をここでご紹介

米国の雇用統計(ペイロール)は、毎月第1金曜日のNY時間午前8時30分(日本では、米国が夏時間の場合は、21時30分、冬時間の場合は22時30分)に、米労働省から発表される。

この時刻にあわせて、EUR/USDをその直前で、ロングとショートと両建てにしておく。(両建て禁止のブローカーの場合は、別口座で、それぞれれたてとけばいい。ただし、この場合は、保証金余力にご注意。)

発表があって、
ロング(予測値よりも雇用統計の数値が悪いとみる。)の場合は、チャートがピーンと跳ね上がったところで、
ショート(予測値よりも雇用統計の数値が良いとみる。)の場合は、チャートが急激に下がったところで、
利確決済。

残ったほうは、市場が落ち着いてからクローズ。

こちらのほうが、下手な日本の大臣の口先介入よりも、実入りが多いと思いますよ。

民主党関係FX取引者さん—(wwww)