今の民主党政権の政策を家計にたとえれば、金になる換金回路がなくなって、一億総措置化の社会実現を目指していると、言うほかないようだ。
円高容認で、輸出産業という換金回路は、閉鎖され、農業者戸別所得補償で、せっかく日の目の当たりかけた産業としての農業を、社会保障としての、いじけた農業生産者によるいじけた産業に変えてしまっている。
では、子供手当てが回りまわって、消費を刺激するかといえば、こちらのほうは、デフレの罠( Liquidity Trap)にとっつかまって、家計内埋蔵金と化してしまう様相である。
さらに、では、雇用調整助成金が景気刺激的かといえば、当座の国家的な人件費補助とはなっても、それが自立的に中小企業を動き出しうる呼び水効果は、ゼロである。
すべての国家支出が、デフレの罠にとらえられ、それ以上の累乗的な換金回路の創出にはつながっていかない。
内需振興のお題目は唱えれど、マーケットの累乗的拡大という出口なき、サプライサイド一辺倒の政策イメージしか、ここからは、浮かんでこない。
では、それならば、限られた内需のマーケットの中で、現在の外需のどの部門とどの部門を内需にシフトさせるのか、という具体的な戦略も、不透明である。
ここにも、デフレの罠が大きく立ちはだかっている。
国家としての換金回路構築という発想に立てば、今こそ必要なのは、
換金回路が自立的に創出され、それが、累乗的な族生にいたるまでの、ビッグプッシュ的な国家支出
と、
減税と消費税への税構造のシフト、
そして、なによりも、
デフレの罠脱出のための金融政策の転換
なのではなかろうか。