一昨日から、物議を醸している赤松農林水産大臣の「秋田を戸別所得補償から外す」トンデモ勘違い発言ですが、どうも、この失言・勘違いの情報ソースは、大潟村の涌井氏の情報にのみよった、非常にバイアスのかかった情報に赤松さんがふりまわされた悲しい結果なんでしょうね。
涌井氏のブログ(12月6日号)などを見ると、赤松発言と軌を一にしているのを見ても、わかりますね。
佐竹秋田県知事も
「農相と11月26日に大潟村で会った時は、連携してやりましょうと話した。その後、何らかの情報の間違いがあったのではないか」
「そのようなことを話した記憶はない。聞き間違いや情報の流れのミスによるのでは」
「農相は間違った情報を基に話していると思う。見守るしかない」
と、その可能性を暗ににじませていますね。
(さすが殿様ですなあ。大人の対応です。)
しかも、官僚非依存なもんだから、それらの発言が、経緯をよく知っている官僚の修正を経ないで、モロに記者会見で出てしまった。
しかし、一時は、農林水産省から秋田県庁に出向した幹部職員は、それこそ、大潟村減反問題担当のごとく、本省との連絡に駆けずり回っていたものなのだが。
今は、知らぬ存ぜぬを決め込むつもりなんでしょうかね?
「大臣、御裸ですよ」といってくれる人がいない。
自爆ってのは、このことでしょうね。
それとも、巧妙に形をかえた官僚の抵抗っていう感じもしますが。
まさに、縁なき衆生は度し難し—、という感じです。
それにしても、涌井さんのブログ記事には、身勝手な論理がちりばめられていますね。
「大潟村は稲作専業農家の村であり、兼業収入が無く農業による収入が全てであり、その収入で生計を立てている。
専業農家であるが故に、生活が維持できない減反面積では減反に参加しようとしてもできないのだ。」
(ふんふん、だから過去に減反破りをした。という理由づけでしょうかね。でも、秋田県の専業農家は、あなただけではなかったのです。そして、それらの他の専業農家は、ちゃんと減反順守してたんです。)
「今までも、大潟村に対してはペナルティとして、秋田県から50%もの減反面積が配分されている。稲作専業農家の大潟村が、50%もの減反面積でどのようにして生活をしていけというのか。普通でもコスト高の農業経費が2倍の経費増になる。」
(ここからは、減反破りをした結果としての論理となっていますね。
「減反破りをした結果、ペナルティが課せられたため、コスト増により、生活できなくなっている。」という論理ですね。
ここは、自己責任の範囲と思うんですけど。)
「しかし、赤松大臣は、これからの農政は、ペナルティは課さないと約束された。
赤松大臣の発言により、大潟村の農家の多くは新しい農業政策に参加する方向性を決めた。」
(「ペナルティを課せられなければ、やっていけるので、大潟村のヤミ米派は、減反遵守に切り替えて、戸別所得補償対象の要件を整えて、新しい農業政策に参加する方向性を決めた」という論理ですね。
では、過去の減反破りをした責任というのは、それで免罪されると勘違いされているんでしょうかね。)
この論理では、ペナルティという言葉が、パラメーター(中間項)になっていて、過去の減反破りを正当化する小道具につかわれてしまっていますね。
赤松さんは、ペナルティの解除を言うと同時に、過去の減反破りは、コンプライアンス違反であった、と、しっかり言わなかったから、このような論理のすり替えを涌井さんに許してしまうことになっているのです。
そして、秋田県内の、これまで減反遵守をしてきたおおくの農家の怒りを、いまや、赤松さんは、買っているのです。
ましてや、本来は減反破りの被害者である秋田県なり秋田県内一般農家を加害者呼ばわりするのは、筋違いもいいところですね。
明らかに大臣失格です。
追記 ここがポイント『秋田県にだけ、なんで、農水省幹部が訪れたの?」
つまり、12月8日、急遽、食糧部長などを秋田県だけに派遣したのは、赤松大臣の謝った認識と指示のもとにおこなわれたのかどうか?ということが、ポイントになりますね。
これについて、12月10日の山田副大臣の記者会見では、こんなやり取りがかわされています。
まあ、当人たちはいろいろ苦しい弁解をしていますが、これらのやり取りから透けて見えてきていることは、赤松大臣がバイアスのかかった情報をまともに受けて、その『うわさ』程度の情報を元に、総合食料局食糧部長を秋田県だけに急遽ブラフのために行かせた、というのが、どうも真実のようですね。
政務三役会議なんて、なにやってんでしょうね。
ゲーペーウー(GPU)ごっこでもやってるのでしょうかね(www)
以下の会見の様子(山田:荒川部長、言っていないよな?→荒川:今、副大臣がおっしゃったとおりでございます。)だと、荒川隆総合食料局食糧部長も口裏あわせの同罪ということになってしまいそうなのですが。(秋田県庁から、そのときのやり取りの詳細は、いずれ、明らかにされるんでしょうから。覚悟すべし。)
以下は記者会見のやりとりから
山田副大臣
大臣も、その趣旨で、我々、三役、今まで、きているんですが、たまたま、秋田県側で、非常に、ペナルティーを外してはいけないというような、そういう一部の声があるというお話を聞いた時、まあ、大臣が、そんなことじゃ、困るじゃないかと、仮に、そんなことがあったら、仮にですよね、交付金そのものも、所得補償の、それは、あり得ないわけじゃないなという言い方を、たしかに、我々、政務三役会議で、大臣が、仮にと、あくまで、仮に、という話をしたので、私ども、農水省、政府側としては、あくまで、やっぱり、秋田県内において、双方が、納得のいくような調整をしていただきたいということで、荒川(総合食料局食糧)部長にも、昨日、秋田の方に飛んでもらって、そういう、納得のいく説明を、私ども、農水省としても、丁寧に丁寧にやらせていただくつもりでおります。
記者
そうすると、あえて、総合食料局の幹部、食糧部長とか、要職の方を、秋田県に行って県の農林水産部長とお話をさせたというのは、なぜなのかとか、どういうお話を県側にはされたのでしょうか。
山田副大臣
いわゆる、今回の国の方針と言いますかね、今まで、大潟村についても、ペナルティー科してきたわけでしょう。しかし、今回、我々は、ペナルティー科さないとなったけれど、かといって、不公平感がないような形での調整というのをつけてもらいたい、そういう趣旨を、県側に伝えたいということから、行ってもらったということです。
記者
要は、さっきの、外すこともあり得るよ、みたいなことを言いに行ったわけではないのですか。
山田副大臣
いえいえ、そういうわけじゃありません。
記者
それは、言っていないのですね。
山田副大臣
はい。それは、荒川部長、言っていないよな?
総合食料局食糧部長
もともと、前々から、これでございます。各県に丁寧にご説明をするようにというご指示でございましたので、そういうことで、私が参ったということでございます。今、副大臣がおっしゃったとおりでございます。
山田副大臣
私も、各都道府県から、課長クラスとか、課長補佐クラスかな、集まって生産数量目標を割り当てた時に、皆さんにお話しした時に、ペナルティーを今回は外させていただきますという話をして、その時も、ある程度の納得いただけたと、そうは思っているんですがね。そういう意味では、調整の難しい県には、できるだけ出かけて行って、丁寧に説明して欲しいと、今、言っているところです。
記者
ちょっと、くどいですけれども、大臣のご発言の中で、やっぱり県の知事とか幹部が、制度の理解が足りないようだという趣旨のことをおっしゃってたようなんですが、副大臣自身の今のご認識では、いろいろな各地の中で、秋田県のところだけ、制度に対する理解が甘いんじゃないかとか、あまりきちんと分かってないんじゃないかとか、そういうご認識は、副大臣はお持ちなんですか。
山田副大臣
いえ、別に持っておりません。それは、各都道府県担当者に、私からも、今回の制度の説明はしておりますし、そういう、秋田県だけ特別に理解してないという気持ちは、私どもには、ありません。
記者
秋田の話に戻るのですけれども、先ほどの荒川部長のお話ですと、一般的な説明の、各都道府県を訪れる一環として行ったというようなニュアンスに聞こえたのですけれども、それだとすると、だいぶ、大臣のおっしゃったのとは齟齬(そご)があるような気がしてならないのですが、何らかの、誰が何を言ったかはともかくとして、どうも秋田の方で制度が誤解されているようだという、そういう問題、秋田固有の問題意識があって派遣されたということではないのでしょうか。
山田副大臣
先ほどから言っているように、仮に、もし、我々の原則に反してペナルティーを科すようなことのないようにと、そういう意味で行ったもので、それはね。そういうことも説明してきたんじゃないかと、そう思ってます。
記者
いや、なぜ、わざわざ食糧部長を秋田に派遣されたのかという話なんですけれども、その発端には、やっぱり何かしらの問題意識があって、仮にと、おっしゃいますけれども、どうも何か県の側でこういう動きがあるようだとか、こういうふうに誤解されているようだとか、分かりませんけれど、何らかの問題意識があって派遣したということではないのでしょうか。
山田副大臣
県の側だって、そこは、定かに聞いていませんが、たしか政務三役会議の時には、秋田県においては、大潟村の生産調整について、今まで全く非協力的な農家に対しても配分するということはけしからんという声が、かなり湧いているという話が、政務三役会議の中であったんじゃないかと、そんなこともあって、大臣が、ああいう発言になり、部長も、丁寧に、秋田県に我々の趣旨を説明に行った、というところじゃないかと、そう思っておりますが。
記者
地元でどうもそういう話があるようだということで行かれたと。
山田副大臣
うん。はい。
記者
そうすると、ペナルティーを、2010年産米の配分で科そうとしていたという大臣の発言で、県側は、それは全くないと言っていますけれども、副大臣は、それは、事実、科そうとしていたということは、事実だったとお考えなのでしょうか。それとも、そういう事実はなかったと考えているのでしょうか。
山田副大臣
私はね、そういうことが大潟村であっているようだというのは、噂程度の話が、政務三役会議の中で出てきたんじゃないかと、秋田県がそう言ったとか、市がそういったとか、そういう、水田調整会議がそう言ったとか、協議会がそう言ったとか、そういう話は聞いていないのですがね。
記者
そうすると、噂程度の話を会見でしゃべられるということは、これは、適切であったのでしょうか。
山田副大臣
まあね、そんな、軽い気持ちで話したと思うのですが、大臣ね。
そういう深刻に、秋田県側に交付金を云々(うんぬん)とかという気持ちはなかったと思いますよ。それは、我々、制度上考えられないことですから。双方が、納得いくように調整して下さいというところですから、政府としてはね。
記者
そうすると、噂程度の話を軽い気持ちでしゃべって、秋田県側は納得いかないと、事実無根だと怒っているといいますか、抗議の意を示しているわけですけども、それに対しては、農水省としては、何のリアクションもとらないということなのでしょうか。
山田副大臣
軽い気持ちでというのはどうだったか、適切ではないかも知れませんけれど、大臣としては、この戸別所得補償に対する思い入れが強いですから、ペナルティーを科さないという方針は貫いて欲しいと、そういう気持ちもあって、ああいう発言に結びついたのじゃないかと、そう思いますがね。
以上
参考 私のブログ記事における大潟村問題記事
「秋田県の誰がペナルティを科すといったかについては、結局示せなかった、今日の赤松農相記者会見のみっともなさ」
「赤松農相「秋田を戸別所得補償から外す」トンデモ勘違い発言のソースは?」
「赤松農相が大潟村に謝罪というが、おかしくね?」